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外国為替アナリスト内田稔のコメント「自民圧勝、円売りの矛先はクロス円か」
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執筆アナリスト
CCIアセットパートナーズ
外国為替アナリスト内田 稔
うちだ みのり
1月以降の振り返りと見通し
年初来、ドル円は堅調に推移し、一時2年ぶりに159円台に達した。政策金利の据え置きを決めた会合の後も植田総裁による利上げの示唆に乏しく円安期待が燻り続けた。ただ、その後は米通貨当局によるレートチェックを受けてドル円は152円台まで急反落。トランプ大統領の円安、人民元安批判もドル安容認と映ったようだ。一方、ベセント財務長官が強いドル政策の堅持を表明し、協調介入の可能性にも否定的な見解を示すとドル円は持ち直した。ウォーシュ元FRB理事が次期議長に指名されたこともドル高を後押しした。QE(量的緩和)に反対し、辞任した過去の経緯から同氏がそれほどハト派ではないとの見方が広がったようだ。ただ2月に入ると不芳な米労働市場の指標が相次ぎドルの戻りも阻まれた。衆院選での自民党大勝を受けた翌朝こそ157円台を回復したものの、中国が国内銀行に対して米国債保有の抑制を勧告したとの報道を受けドル安が再燃するとドル円も再び反落。予想を上回った1月米雇用統計(後述)もドル円の反転材料とはなっていない(図1)。
当面の見通し
衆院選後、主要通貨の中でドルが最も弱く、円が全面高となっている。対象を食料品に絞った時限的な消費税率の引き下げにとどまる見通しとなったことで一旦財政悪化懸念が沈静化。投機筋の円売りが高水準であるだけに、イベント通過による材料の出尽くし感も加わり、しばらく円の買戻しが続く可能性がある(図2)。
もっとも、「積極財政」が信認を得たことから引き続き拡張財政路線が続く見込みだ。春先に向けての食料品の値上げ時期を控え、インフレ期待の高止まりも見込まれる中、インフレ率の低下が阻まれそうだ。その場合、日本の短期実質金利(名目金利-インフレ率)が依然マイナス圏にとどまる為、円売りが再燃する可能性が高い。一方、米国の非農業部門雇用者数が予想を上回り、失業率も低下(図3)。
利下げの織り込みもやや後退した。ドルが下げ渋る可能性も十分だ。但し、介入警戒感がドル円の続伸を阻むとの見方も根強く、160円は遠い。円売りが再燃する場合、その矛先はクロス円に向かうと考えられる。
2026年2月12日、日本時間9時脱稿
内田稔うちだ みのり
東京銀行入行。
外為を中心に一貫して市場部門に在籍し、2007年より為替リサーチ、2011年からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌の外国為替市場調査では2013年からアナリスト個人ランキング9連覇。
2022年より高千穂大学商学部教授。公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、国際公認投資アナリスト、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。
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