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外国為替アナリスト内田稔のコメント「FIMAレポは円安封じ込めの切り札になるか」

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執筆アナリスト

CCIアセットパートナーズ
外国為替アナリスト
内田 稔
うちだ みのり

7月以降の振り返りと見通し

ドル円は7月23日、163.99円と約40年ぶりの高値を記録した。米国の利上げ観測の台頭がドル高圧力となり、原油価格の上昇も「有事のドル買い」に波及した可能性がある。7月に入り、主要通貨の中では円もスイスフランい次いで弱く、ドル高と円安のコントラストがドル円を押し上げた。一方、FOMCでは政策金利据え置きとの決定に、3名が利上げを主張して反対票を投じ、会見ではウォーシュ議長もインフレへの警戒を示した。ただ、今後の政策に関するヒントに乏しく、利上げの織り込みが後退するとドルは反落した。ドル円はその後も163円台で続伸の機会をうかがっていたが、7月30日に163円台後半から157.98円まで急落。翌日も一旦160円台後半まで持ち直した後、再び157円台前半まで急反落した。日本の通貨当局は2日連続、米通貨当局も7月30日のレートチェックに続いて2011年以来となる日米協調介入に踏み切ったことが判明すると週明けも続落し、155.23まで下げる場面がみられた。もっとも、5月の安値155.04を下抜けできなかったことから、その後反発すると予想を下回った米7月雇用統計を横目に上下しつつも、再び160円の大台を伺う勢いとなっている(図1)。

図1:ドル円

当面の見通し

協調介入の翌週、ベッセント財務長官はFRBに対してFIMAレポ枠の拡大を要請したと報じられている。FIMAレポはNY地区連銀の口座保有者が適格米国債を担保にドルを短期間(1日か7日)、調達する取引だ。その目的は、一時的なドルの流動性のバックストップの提供であり、介入への転用は想定されていない。ただ、日本の米国債の売却とそれに伴う長期金利の上昇リスクを踏まえ、これを拡大解釈する模様だ。これで、日本は米国債を売却せずに機動的に介入資金を得られるが、調達額は担保の範囲内である。介入に関する金額面での制約は引き続き残るほか、期日到来時にはドルを返済する必要もあり、ドルを為替市場で買い戻すか、米国債を売る必要が生じる。また、技術的には延長も可能だが、それはFRBがドル建て融資を長期間抱えることに近い。米国債が担保であり、信用リスクはないにせよ、バランスシート運営上、FRBが難色を示す可能性もある。以上を踏まえると、FIMAレポの介入への転用が、円安封じ込めの切り札となるわけではないだろう。また、米国はユーロ円で介入しており、ECBには外貨準備のアロケーションの見直しとして事後的に報告された模様である。これは、経常赤字国である米国がドル売りを避けたいこと、協調介入としては国際的な理解を得られにくいと認識していることを示唆している。引き続き介入警戒感は残るものの、追加協調介入の可能性は低く、ドル円は160円大台を回復する展開か(図表2)。

図表2:FIMAレポに関するQ&A

2026年8月14日、日本時間9時脱稿

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内田稔うちだ みのり

株式会社CCIアセットパートナーズ外国為替アナリスト、高千穂大学商学部教授(専門は国際金融論、外国為替)、公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員

1993年、慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行後、一貫して市場部門に在籍。2011年4月から2022年2月までチーフアナリストを務め、2022年4月から現職。金融専門誌J-MONEYの東京外国為替市場調査では2013年から9年連続アナリスト部門個人ランキング第1位。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本金融学会および日本ファイナンス学会会員。テレビ東京ニュースモーニングサテライト、ロイターコラム外国為替フォーラム、プロピッカー(News Picks公式コメンテーター)などメディアでの情報発信も多数。

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