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外国為替アナリスト内田稔のコメント「ドル円続伸に必要なもの」

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執筆アナリスト

CCIアセットパートナーズ
外国為替アナリスト
内田 稔
うちだ みのり

6月以降の振り返りと見通し

6月のFOMCでは政策金利の予想分布図(ドットチャート)の中央値が引き上げられ、年内の利上げが示唆された。ウォーシュ議長も「雇用と物価の二大責務の間で厳しい選択を迫られているとは考えていない」と発言。景気や労働市場への配慮から3度の利下げを実施した昨秋以降の流れを一旦断ち切り、インフレ対応を重視する姿勢を示した。これを受け、市場では年内の利上げ観測が高まり、ドルがじり高に推移した。一方、FOMCに先立ち、日銀も政策金利を31年ぶりの1%まで引き上げていたが、円高の反応は限られた。理由として、➀年初来、年内2度の利上げが織り込み済みであったこと、➁利上げ後も短期の実質金利(=名目金利-インフレ率)がマイナス圏にとどまっていること、➂世界的なインフレと利上げ観測の台頭により、日銀の利上げが目立ちにくくなったことが挙げられよう。ドル円は介入警戒感から162円台を目前に足踏みも続いたが、結局一昨年の高値161.95を上抜けすると162.84まで続伸した。その後、予想を下回った6月の米雇用統計を受けて一旦161円を割り込む場面もみられたが、週明けには再び162円台を回復するなど騰勢を保っている(図1)。

図1:ドル円

当面の見通し

短期実質金利がマイナス圏にとどまる限り、円は脆弱と考えられる。加えて長期金利が上昇しており、一部ではその要因に「骨太の方針」で示された財政拡張路線に伴う「悪い金利上昇」を挙げる声もきかれる。CDS市場のスプレッドに著変はみられていないが、インフレ期待が高止まりしている上、日銀の「量の正常化」による需給悪化懸念も根強く、タームプレミアムも拡大しつつある。昨秋の「長期金利上昇と円安の並走」が連想されやすく、ドル円の直近高値更新も視野に入る。ただ、投機筋の円売りが2年ぶりの高水準に達しており、円売りに一服感もみられる。その上、介入警戒感も根強いことから、ドル円の続伸には「ドル高」も求められよう。その点、7月14日公表の米消費者物価指数(CPI)が注目される(図2)。

図2:米国の消費者物価指数(前年比)

予想を上回れば利上げ観測が高まり、ドル高を後押ししそうだ(図3)。

図3:ドル指数

そうしたドル高地合いの下であれば、介入によって一時的にドル円が下落しても、再び持ち直してくるだろう。反対にCPIが予想を下回ると5月以降のドル高が水を注され、反落を余儀なくされる。そうしたタイミングに介入が重なるとドル円の下げ幅も広がるとみられ、要注意だ。下値目途として4月30日の介入後の安値155.05が意識されよう 。

2026年7月10日、日本時間9時脱稿

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内田稔うちだ みのり

株式会社CCIアセットパートナーズ外国為替アナリスト、高千穂大学商学部教授(専門は国際金融論、外国為替)、公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員

1993年、慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行後、一貫して市場部門に在籍。2011年4月から2022年2月までチーフアナリストを務め、2022年4月から現職。金融専門誌J-MONEYの東京外国為替市場調査では2013年から9年連続アナリスト部門個人ランキング第1位。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本金融学会および日本ファイナンス学会会員。テレビ東京ニュースモーニングサテライト、ロイターコラム外国為替フォーラム、プロピッカー(News Picks公式コメンテーター)などメディアでの情報発信も多数。

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