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外国為替アナリスト内田稔のコメント「高まる161円95銭再来の蓋然性」
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執筆アナリスト
CCIアセットパートナーズ
外国為替アナリスト内田 稔
うちだ みのり
5月以降の振り返りと見通し
世界的にインフレ再燃が警戒される中、4月の物価統計を受けて米国でも利上げ観測が台頭した。さらに、5月の米雇用統計が予想を上回る雇用増を示した結果、主要通貨に対してドルは全面高となっている。ドル円も介入警戒感から上値は重いものの、足元では160円台での定着を伺っているようだ(図1)。
ユーロは対ドルでは軟調に推移する一方、円安を支えに対円では底堅さを保っている(図2)。
当面の見通し
6月に予定される主要3中銀の金融政策を展望すると、まずECBは11日に利上げを決める可能性が高い。ただし、ラガルド総裁は不芳な景況感を踏まえ、慎重なガイダンスを示そう。ユーロドルは材料出尽くし感から1.15を割り込むとみられ、間接的にドルを支えそうだ。日銀についても、利上げが確実視されている。ただ、年内2回の利上げが織り込み済みである上、インフレ再燃により短期の実質金利(=政策金利-インフレ率)もマイナス圏にとどまる見通しだ。さらに、他の主要中銀も利上げ姿勢に転じており、対外金利差の縮小も見込みにくい。植田総裁は利上げ継続方針を示しつつも、追加利上げの時期については慎重に言葉を選ぶだろう。利上げが円高を誘発する可能性は低いと考えられる。また、国債買い入れ減額を一時停止する場合、金融緩和の長期化が連想され、円安に作用する可能性があり、要注意だ。一方、FRBは政策金利を据え置くものの、声明文から次の政策変更が利下げとも読める文言を削除するとみられる。ウォーシュ議長の会見内容を確認する必要はあるが、FOMCの軸足は「労働市場(景気)への配慮」から「インフレ警戒」へ移りつつあり、それは政策金利見通し(ドットチャート)の上方修正に現れよう。FOMCがタカ派に傾いたとの受け止めから利上げ観測が強まり、FOMC後、ドルが堅調に推移しそうだ。ドル高が進めば、本邦当局の介入効果も薄れかねない。介入がいつ行われても不思議ではない為、相場の乱高下には要注意だが、市場の関心は次第に一昨年の高値である161.95円へ向けられよう。もっとも、AIブームに沸いた株式相場がFRBのタカ派シフトを嫌気して調整色を強めるリスクがある(図3)。
さらに、原油価格が高止まりしているほか、インドネシアルピアなど一部のアジア通貨の下げ幅が広がっており、市場がリスク回避的となる可能性もある。円の買い戻しが誘発され、ドル円が下落するリスクにも一応の警戒が要る。
2026年6月10日、日本時間8時脱稿
内田稔うちだ みのり
東京銀行入行。
外為を中心に一貫して市場部門に在籍し、2007年より為替リサーチ、2011年からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌の外国為替市場調査では2013年からアナリスト個人ランキング9連覇。
2022年より高千穂大学商学部教授。公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、国際公認投資アナリスト、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。
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