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外国為替アナリスト内田稔のコメント「タカ派になり切れなかった日銀」
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執筆アナリスト
CCIアセットパートナーズ
外国為替アナリスト内田 稔
うちだ みのり
日米金融政策とドル円相場
米FRBと日銀はそれぞれ9月の会合で利上げを決めた。いずれも予想通りだが、FRBの利上げに対し、素直にドル高が進んだ一方、日銀の利上げに市場は円安で反応した。前者は全会一致であり、政策金利の予想分布図(ドットチャート)でも18名中16名が年内の追加利上げを適当と判断。その内の4名は10月、12月の連続利上げを支持するなど総じてタカ派と映った。今回、確認されたのは、原油高など供給要因でもインフレ率の高止まりには利上げで応じるFOMCの姿勢だ。その後、8月個人消費支出物価指数の伸び、9月雇用統計がいずれも予想を下回ったことから10月利上げは見送られる公算が大きいが、インフレ率は高止まりしている(図1)。
カンザスシティ地区連銀のLMCIによれば、労働市場の回復も緩やかながら続いており、市場も12月の利上げを完全に織り込んでいる。これに対し、日銀の利上げには2名の審議委員が反対を示した。植田総裁も会見で、「局面が変わった」と発言し、利上げペースの加速を示唆したが、急激な利上げによる銀行貸し出しや資産価格の大幅な調整リスクにも言及するなど、タカ派に成り切れない一面も覗かせた。市場では利上げペースが加速するとの見方が和らぎ、円安を招いた可能性が高い。159円台に達した後、トランプ大統領が円安に懸念を示したことが片山大臣より明かされ、ドル円は反落したが、それでも155円が強いサポートとして意識されている。米国の長期金利上昇も支えに、総じて底堅さも保っている(図2)。
ユーロ安が支えるドル高
原油相場の高騰を受け、市場のインフレ期待が高まり、各国の長期金利を押し上げてきた。中でも対独スプレッドが14年ぶりの水準に達するなどフランスが顕著だ(図3)。
現在、政府が進める財政健全化に対し、左派連合、極右が反発を強め、予算案の成立が危ぶまれている。財政再建の停滞も警戒され、ユーロドルが昨年5月以来となる1.11台まで下落した。ユーロドルは為替市場で最大の出来高を誇り、ユーロ安は間接的にドル高に作用する面がある。予想を下回った米雇用統計後もドル円が底堅さを保っている一因と考えられる。足もとではG7が石油備蓄の協調放出を決め、中東産原油の輸出にも持ち直しがみられ、原油相場の上昇も一服している。また、先の円安けん制もドル円の上値を抑えており、160円台には距離がある。一方、日銀の利上げ加速との見方が台頭しない限り、155円を割り込む円高も見込みにくく、ドル円の方向感は出にくいだろう。こうした中、フランスのいわゆる「悪い金利上昇」を受けたユーロ円の続落には要注意だ。加えて、中間選挙を控え、トランプ大統領も大型の現金給付構想を打ち出している。長期金利の上昇が、ドル安に波及するリスクにも警戒を要する。
2026年10月7日、日本時間午前9時脱稿
内田稔うちだ みのり
東京銀行入行。
外為を中心に一貫して市場部門に在籍し、2007年より為替リサーチ、2011年からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌の外国為替市場調査では2013年からアナリスト個人ランキング9連覇。
2022年より高千穂大学商学部教授。公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、国際公認投資アナリスト、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。
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