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外国為替アナリスト内田稔のコメント「波乱相次ぐ世界市場、動かないドル円」

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執筆アナリスト

CCIアセットパートナーズ
外国為替アナリスト
内田 稔
うちだ みのり

10月の振り返り ―狭い値幅と波乱のマーケット―

10月の市場は荒れ模様となった。前月に続き、フランスの長期金利が上昇し、対独金利差が拡大するとユーロ安に波及した。米ハイパースケーラーの過剰投資を巡る懸念から、ハイテク株を中心に株式相場も軟調に推移。代わって米国債が選好されると長期金利が低下し、ドル安を促した。一方、イラン情勢の緊張が続き、原油価格の上昇がドルを支えた。先のユーロ安も間接的なドル高材料となり、ドル指数は18カ月ぶりの高値圏まで浮上する場面もみられた(図1)。

図1:第2次トランプ政権発足後のドル指数

円は投機筋の円の買戻しを追い風にドルと概ね拮抗した。月間のドル円の値幅は156.08~158.95にとどまり、年初来で最少の値幅となった(図2)。

図2:年初末のドル円相場

金融政策を巡っては、インフレを警戒しつつもFRB、日銀ともに利上げを見送った。FRBは経済の評価を「solid(底堅い)」から「strong(強い)」へ引き上げ、インフレ率を「timely(遅滞なく)」に目標まで戻すとするなど、利上げを示唆した。もっとも、当面は情報収集が有益と表明するなど、過度なタカ派姿勢も見せなかった。日銀は基調物価が目標に達したと宣言し、利上げ継続方針を示したが、概ね予想通りでもあり、相場の反応は限られた。

11月の見通し ―米中間選挙後の不透明感―

米中間選挙は予想通り、上下両院とも民主党が過半数議席を確保した。この結果、トランプ大統領による財政面での大盤振る舞いは回避される見通しとなり、米国債市場がこれを好感して上昇。長期金利の低下により、ドル指数も10月の高値から約2%下落している。ただ、米国の労働市場の緩やかな改善が続いており、インフレも粘性を帯びている(図3)。

図3:米国の労働市場情勢指数(LMCI)

現在、市場は12月利上げを8割程度しか織り込んでいないが、今後の指標の上振れも相応に見込まれ、ドルは次第に持ち直す可能性が高い。他方、日銀を巡っては、10月の会合後も利上げ観測は盛り上がりを欠いている。FRBによる12月利上げが見込まれる中、日銀も追随しようが、OIS市場は来年6月までの利上げを約2.2回しか織り込んでおらず、四半期毎の利上げ継続に懐疑的だ。その上、ECBなど他の中銀による複数回の利上げも見込まれ、金利差の点でも日銀の利上げが円固有の増価要因とはなりにくい。モノやサービス収支の赤字も定着しており、短期の実質金利も依然としてマイナス圏のままだ。ドル円は160円近辺では為替介入や米国側からの円安けん制も見込まれ、上値も重そうだが、円高に進む材料にも乏しい。11月も156円から160円圏で底堅く維持しそうだ。尚、フランスを巡る混乱、対イラン戦争の拡大と原油高、米民主党によるAI投資への規制強化の可能性など株式相場にとっての波乱材料も多く要注意だ。

2026年11月5日、日本時間午前9時脱稿

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内田稔うちだ みのり

東京銀行入行。
外為を中心に一貫して市場部門に在籍し、2007年より為替リサーチ、2011年からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌の外国為替市場調査では2013年からアナリスト個人ランキング9連覇。
2022年より高千穂大学商学部教授。公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、国際公認投資アナリスト、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。

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